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黒い斑点をまだらに飾る黄色の皮の内から、ほのかに甘い香りと一緒に白い肌を覗かせる、バナナ。
レイチェルはやわらかくも締まったその姿態に、朱の唇で口付けする。
白い果実は、すでに腺液によって濡れた口内へ滑り込むように侵入していくと、先っぽを少し入れたところでその動きを止めた。
すかさず、レイチェルは歯を立てる。
引き締まった白い図体は脆くも噛みとられ、やや黄色味を帯びた断面を残して口元から引き離されてしまった。
「んー、おいしい」
艶かしい所作でバナナを頬張るレイチェルは、その甘味に舌鼓を打ち、すっかりとご満悦の様子。
と、バナナを一本平らげたところで、レイチェルは閃いた。
「そういえば、古来より伝わるトラップの話を聞いたことがあるわ。ちょうど暇だし、今がこれを試すチャンスね!」
バナナの皮をつまみ上げ、レイチェルは、意気揚々と立ち上がる。
その足で自動ドアへと向かい、ガラスの戸を開けると、優雅な仕草で公然と“ポイ捨て”を行った。
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