逢えない貴方へ

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いきなり連絡が途絶えた 不安になって、何度も何度も貴方の携帯に着歴を残した。 たまらなくなり、貴方の家の電話を鳴らした。 今、それどころじゃないの。と貴方の家族に言われた。 掛けて来ないでと。切られた。 小さくなって泣いた。 自分を全て抱きしめて泣くって事を初めて知った。 会社を休んで、貴方のもとへと夜、高速バスに乗り高安行きの電車に乗った。 ただ、逢いたかった。 何度も2人で見た景色が車窓を流れていく。 すこしずつ、 少しずつ 貴方の住む高安の駅が近ずく。 早く 貴方に逢いたい… そのとき 突然、耳の奥から、 今、それどころじゃないの…とはっきり聞こえた 私は、高安で降りる事が出来なかった。ドアが閉まり、再び動きだした。 聞こえた声に心がストップを掛けた。 あ・え・な・い   ア・ッ・テ・ハ・イ・ケ・ナ・イ あの通りを右に曲がれば、貴方逢えるのに… 幻聴と振り払って、逢いにいく勇気がなかった。 電車の中で、 涙が、 静かに、静かにあふれ落ちてきて とまらなかった。 それから何ヶ月が過ぎてある同じ夢を 何度も、何度も、見るようになった。 行ったこともない鈴鹿への道路標識が 進行方向から流れてくる夢。 4月になり、 私は、思い切って再び貴方の行きつけの喫茶店に行き、貴方の好きなトレーナーと大好きだったビリージョエルのCDをマスターに託した。 大好き。連絡下さい。待ってるからと書いた手紙を添えて… この喫茶店で 貴方の家族が知人の会社の莫大な借入金の保証人になって、その会社が倒産、知人が逃げてしまい、その債務を負った事。 その結果 家は、差押えられたと、いうこと。 借金を家族で返しているらしい事。をマスターから聞かされた。 一度私のもとに来ようとしたけれど、 出ようとした時、母親にさとられ泣きつかれてどうにもならなかったと。 そして今、鈴鹿で働いているらしい事 今も ふらっとやってくるが 何度聞いてもこれ以上は話さない事も…。 夢は 貴方からの メッセージだったんだね 私を想ってくれてる。 あのとき、話せば すぐさま 私が飛んで帰ってくるのがわかっていたから 何も告げないで消えたの? 貴方に託したものが渡せたと聞いた後も 待っても、待っても連絡はこなかった。 本当に 大切な手が離れてしまった… 私の心が すべて壊れてしまったほうが、 楽なのに。と想うほど、愛しさも哀しみも溢れ出した。
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