逢えない貴方へ

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貴方に逢いたくて 悲しくて 涙こぼれる時も せめて夢で逢いたいと胸がいっぱいになる夜も 貴方は全然出てきてくれなかったのに 人は、   涙が、 本当に枯れても、 想いを抱えながら 生きていくものなんだと 哀しくも知った頃から 数ヶ月、年単位でふと夢に貴方は現れるようになった。 おいっお前はいいなぁとか もう迎えにいけない。俺、結婚するんだ とか ほいっ俺の子供だと私に抱かせてくれたり 俺の女房だよ、お前に逢わせたかったんだとか。 あのとき、もっと話せば良かったな~とか 貴方は、一方的に報告をしたね。 逢えなくなって6年が経とうとした春。 私は、進められるまま見合いで結婚を決めた。 でも心の奥には、いつも貴方がいたの。 それから数年経って夢でようやく貴方は逢いに来てくれた。 黒いリムジンで白いジャケットを着て 逢えなくなってからの年月分、顔が変わってたけど、貴方だってすぐにわかったよ。 おかんがお前に逢ってこい、逢ってこい、うるさくて。 逢いにきた。 と見覚えのある くしゃくしゃの笑顔で 抱きしめてくれた。 でも 何となくわかったの 貴方は、逝くんだって。 最期に逢いにきてくれたんだって。 たまらなくなって、 貴方を探そうと思った。二度と本当で逢えなくなってしまう。 旦那に、離婚を覚悟の上。 必ず戻ってくるから 大切な人が病気なので、何も聞かず看病に、行かせて下さいって土下座した。 旦那は、怒鳴りつけた。修羅場になった。 行くことも、別れることもできなかった。 今思えば、私、ズルいよね… あれから貴方は、夢にぴったりと現れなくなった。
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