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その日は部活の片づけなんかで学校に遅くまでいて、結局最後まで一人残ってやっていた。
あの頃のバレー部は私含めた六人で全員二年生だった。
私が一番下手でみんなに迷惑かけてたから、片づけくらい頑張ろうってやってたら遅くまでかかってしまったってわけだ。
そんな帰り道に彼と出会ったのは驚きだった。
一人で遅くまでやっててよかったって。
「えっと、吉見さんだっけ?学校の門ってまだ開いてる?」
彼に初めて声をかけられた。
そのときまで、好きって気持ちはあまりなかったけど、少し気になる人ってくらいだった。
それに、一緒のクラスになったこともないし、喋ったことなんてもちろん一度もなかった。
「もう閉まってるよ。私が出た後先生が鍵しめたから。本庄くん忘れ物でもしたの?」
「そうなんだ。閉まってるか。まぁ明日でもよかったんだけど、教科書忘れてきてさ。それよりどうして俺の名前知ってんの?」
そう聞かれてドキッとした。
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