第三章 贄

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「でしょ?」  水城がそう言ったとき、何かが足元に見えた。海人は反射的に跳んでよけたが、それは水城の足に当たる。  水城は「わぁ」と叫んで転んだ。足元には、茂みから半透明な手が不気味に伸びて水城の足を掴んでいる。  贄だ。  海人はウロコの民から奪った刀を取り、贄の手に振り下ろす。  「無駄よ、贄には物理的な障害は効果な…」比丘尼の忠告も聞かずに、海人は刀で贄の手を切る。  贄の手は切断され、そのまま塵のように消えた。  「うそ…」と比丘尼は驚く。  水城は起き上がろうとして、すぐにまた地面に膝をつく。どうやら足をひねったらしい。 「水城!」  海人はベルトに刀の鞘を差し込み、そこに刀をしまう。  海人と入江は水城の脇に手を差し込み、二人で担ぐように水城をつれて走る。 「ごめん」 「もうすぐだ、頑張るぞ」  後ろを振り返りウロコの民を確認するが、まだ追いつかれていない。  神社の前まで来ると、海人と入江は息を切らしながら足を止めた。  「大丈夫。こないみたい」比丘尼は後ろを確認して言う。  入江は膝に手をついて、腰を曲げながら息を整えている。  海人は水城を地面に座らせる。  荷物をその場に下ろし、社の階段を上る。
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