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ヴァージンロードを共に付き添うのは、皐月。
普通ならば由香の父親が付き添うべきなのだが、由香は両親を呼んではいない。
両親を呼ばない理由はまたどこかで述べるとして、由香はゆっくり歩いていく。
教会の外には遠くから覗こうとしている卒業したクラスメイトや、名前も知らない後輩がいた。
「全く、有名になっちまったなあいつら」
「剛だって教頭に昇格じゃないですか」
「……だるいじゃん」
「何か言いました?赤崎先生」
弥生に視線を送られて、赤崎は背筋の震えを覚えて冷や汗を流した。
そうした中、由香は順調に歩数を進める。
待っている雅樹も、由香と同様に伸びていた髪を切り、微笑む。
由香は雅樹の側に寄り、祐希が口を開く。
「汝、雅樹。あなたは妻由香を――」
「祐希、無理しなくていいぞ」
照れ気味に言っていたのを雅樹に感づかれ、そんな声を掛けられる。
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