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「…」
俺はさっきの少年達の後を追うかの様に歩いていた。 別にそんなつもりで歩いている訳じゃ無いが…。
「…」
向こうもこっちに気付いている様で、たまに此方を覗き見て来る。
「…」
すると少女は、急に此方をまじまじと見て来たが、俺は気にせず何処でも無く前を見て歩く。
「…?」
少女は首を傾げたかと思うと、何か思い至ったのか、ハッという顔をして…。
「ギリギリギリギリ、キシャァァー!!」
突然威嚇して来た…。 何なんだよまったく…。
「ど、どうしたの五十鈴ちゃん?」
いきなり威嚇し始めた彼女…(イスズと呼ばれていたな…)に彼は驚いた様で、よく解らないままに彼女を宥めようとした。 だが、彼女には聞こえていないのか、威嚇を続けて来る…。
「…」
威嚇をされながらも、取り敢えずそれを無視して歩き続けた。
そしてそのまま学校に着いた…。
「…え…?」
口では疑問を浮かべていたが、頭ではしっかり状況把握が出来ていた。
(成程…つまり、彼等は此処の生徒だったのか…)
「あぁ~…」
少年達もどうやら気付いたらしい…。 まぁ確かに俺が今着ているのは此処の制服では無く、前の学校の制服だから怪しまれたのだろう。 そう思い彼等に続いて学校の敷地に入った刹那、無数の視線を感じた…。
「…!?」
嫌な気配を辿って見ると…周りから、窓から…大量の目、眼、眸、瞳…。 そしてそのメは、ほぼ全て…俺では無く少年に向けられたモノである事に気付く。
「あいつ…一体…」
当の本人は全く気が付いていない様だ。 単にこの学校の人気者なのか…? そしてそれ以上に気になる事が…彼に視線を向ける人の中には、うっとりと…それでいて、獲物を狙うかの様な眼をしている奴がいる事だ…。
「いや…」
悪い考えを追い払う様に頭を振る、きっと気のせいだろう…引っ越したばかりで、神経質になっているだけだ…と。
「チッ…」
軽く舌打ちをした、頭の隅にまだあの眼が、顔が残っているが…強引にそれを更に隅に押し込み俺は校舎へ入った…。
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