旧交

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「……だから、どうだと言うんですか? その〈サクライ・シオリ〉さん、でしたっけ? その女性が消えた事と僕とがどう繋がっているんです? アナタは馬鹿げている」 「違う。消えたんじゃない、“消された”んです」 と黒川はキッパリと言い放った。その口調は確信に満ちていて、それが僕を更に苛立たせた。 「どちらだって構わないんですよ、僕にとっては。例えば、アナタはもしニュースで知らない土地の知らない人間が亡くなったと報じられたら、その人の為に泣けますか? 心から哀しみを覚え慟哭を叫べますか? 無理だと思うな。きっとアナタはそのニュースの原因が僕かもしれない、とまた僕を疑うんでしょうね。疑心は暗鬼を呼ぶ、てね。もう一度言います、アナタは馬鹿げている」  
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