一章

8/19
前へ
/22ページ
次へ
 そんなこと、やりたくはないので、姫華が忘れることはないのかもしれない。  全力疾走で教室に飛び込むと、一人の少女がいた。どうやら、律儀にもまだ待っていたようである。俺なら容赦なく帰っていただろう。  まあ、彼女のことだ、八割がた残っているだろうとは思っていた。  廣畑皐月(ひろはたさつき)。  それがその少女の名前だ。この学校では、姫華と同じくらいの有名人だ。それもそのはず、おかしいくらいに美人の姫華とタメをはれるくらいに、彼女の容姿も素晴らしいのだ。  もっとも、彼女と姫華では方向性が違う。姫華は美人系だけど、廣畑さんのほうは、可愛い系とか癒し系だ。  まず姫華から。身長は百六十センチほどで顔は小さめ。くりくりした二重まぶたの大きな眼、程良い高さの鼻、薄いが思わずキスをしたくなる魅惑の唇。腕とか足も細すぎず太すぎず完璧なバランスを誇っている。  スタイルだって抜群だ。最近、Eカップになった。  廣畑さんの身長は姫華と同じくらいだろう。二重に縁取られた大きな瞳は優しさで彩られているし、口元はやさしげにいつも微笑が。桜がいを思わせる桃色の唇は、もうヤバい。犯罪者になっても良いと思わせるくらいの破壊力を持っている(癒し系なのに)。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

256人が本棚に入れています
本棚に追加