一章

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 廣畑さんは知られたくないだろうから、俺は黙るしかない。テキトーなことでも言えば良いのかもしれないけれど、俺はもうこいつに嘘はつきたくない。 「言えないの?」 「……ああ、そうだな」 「あれは、あたしたちのせいなの?」 「それは……」どうだろう。  ちょっと判断しづらいところだ。正直なところ、俺たちはあまりというか、全然悪くないような気がする。学校でエロゲをやる方が悪いだろう。  けど、廣畑さんは泣いていた。それだけで、追いかけるには十分じゃないか。 「迷うくらいなら」と、幼馴染はなにかを我慢するような声で言う。「さっさと追いかけなさいよ、あほ!」 「いや、俺、足首痛いからもう走れな、」 「あんたの足と乙女の涙、どっちが重いと思ってるの!! いいからさっさと追いかけなさい!」  姫華は俺のケツを思いっきり蹴った。大木を平気で真っ二つにへし折るキックである。俺じゃなかったら身体が2つになってるだろう。  めちゃくちゃいてえ! 足首の痛みなんか、すっ飛ぶくらいだった。  また蹴られたらたまらないので、俺は蹴られた勢いそのままに、廣畑さんを再び追いかけることにした。靴を履き替える余裕は、もちろんなかった。
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