256人が本棚に入れています
本棚に追加
廣畑さんは知られたくないだろうから、俺は黙るしかない。テキトーなことでも言えば良いのかもしれないけれど、俺はもうこいつに嘘はつきたくない。
「言えないの?」
「……ああ、そうだな」
「あれは、あたしたちのせいなの?」
「それは……」どうだろう。
ちょっと判断しづらいところだ。正直なところ、俺たちはあまりというか、全然悪くないような気がする。学校でエロゲをやる方が悪いだろう。
けど、廣畑さんは泣いていた。それだけで、追いかけるには十分じゃないか。
「迷うくらいなら」と、幼馴染はなにかを我慢するような声で言う。「さっさと追いかけなさいよ、あほ!」
「いや、俺、足首痛いからもう走れな、」
「あんたの足と乙女の涙、どっちが重いと思ってるの!! いいからさっさと追いかけなさい!」
姫華は俺のケツを思いっきり蹴った。大木を平気で真っ二つにへし折るキックである。俺じゃなかったら身体が2つになってるだろう。
めちゃくちゃいてえ! 足首の痛みなんか、すっ飛ぶくらいだった。
また蹴られたらたまらないので、俺は蹴られた勢いそのままに、廣畑さんを再び追いかけることにした。靴を履き替える余裕は、もちろんなかった。
最初のコメントを投稿しよう!