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その表情を見た俺は……正直に言おう。不謹慎にもほどがあるが、廣畑(ひろはた)さんの泣き顔が、きれいだと思った。幻想的ですらある。
そんな彼女の表情に思わず一瞬見惚れてしまったが、それどころじゃないと心の中で自分を射殺しておき、
「ちょっと待った、廣畑さん!」何を待ってほしいのかはよく分からない。
そんな意味のわからない発言をしてしまうほど、俺は動揺していた。いや、あんな場面を見てしまったんだ、追いかけたらこうなるのも予想してしかるべきだったんだろうけど。
が、しかし、学校の心のオアシス、ゆとりである純真無垢な、エロゲをする美少女である廣畑さんは涙をぬぐいながら、はい、とひっく、をうまく混ぜ合わせて失敗したような声をもらす。何を待つつもりなんだろう?
不思議に思いつつ、とりあえず座ってもらおうと考え、ぐるっと視線を巡らす。どこをどう見ても滑り台しかなく、ベンチがなかった。何を考えてこんな公園を造ってんだよ。
「いや、その……」声をかけて黙ってるのはおかしいと考え、とりあえず声を出す。「さっきのモヒカン、知り合い?」
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