一章

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「そうか」と、言ってから、軍曹はペラペラと何かの紙束に目を通す。どうやら、全国模試と校内の定期試験の成績のようだ。 「おまえの成績だと――」  なんて切り出しで、長い長――――――い面談は始まった。  ☆ ☆ ☆  何故だか三十分以上も話しこんでしまった俺は、うんざり感を背負って、ため息とともに廊下を教室に向けてよれよれと進む。まだ五月初旬と言うこともあり、日はすでに落ちており、外は暗い。  校内に残ってる生徒は俺と教室で待ちくたびれている人との二人くらいかもしれない。部活は今、延長禁止だし。もしいるとしたら、生徒会役員くらいか。  あ、教室に着いたら、教室にいるであろう彼女に、今日はもう帰って、という軍曹の伝言を伝えなきゃ。  腹減ったなぁ、腹をさすり、左に曲がる。そのまま直進すれば教室につくのだが。  その前に俺はあまり会いたくない奴の背中を目にした。まだ残ってたのか。 「げ……」  思わずもれた声は、そいつの耳にばっちりとどいたらしく(相変わらずの地獄耳だ)、振り向き、俺の姿を認めると、つかつかと踵を返してこちらに歩いてきた。わざわざ戻ってくんな。 「げ、とは何よ。失礼ね」  俺は彼女の発言をさくっと無視し、 「神巫姫華生徒会会長、こんな時間に校内にいるなんて、校則違反ですよ」
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