一章

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「あたしは仕事よ。それに、それを言うのならあんたもでしょ」 「俺は面談で遅れたんだ。というか、学校では他人のふりをしなきゃ、って言ったのはおまえだろ、神巫姫華生徒会会長?」  神巫姫華。たぐいまれなる頭脳と美貌、身体能力、スリーサイズとかのバランスの良さなどなどを誇る人だ。褒める点を挙げるときりがないのでこれ以上はやめておく。  そして、世界経済を掌握していると言って過言ではない、あの神巫グループ宗家の長女である。  間違ってもこんな東北の片田舎の高校に通う存在ではないし、実際、こいつはすでに学位とか修士とかをいくつか取っているのだ。  では、何でこんな普通の進学校(自称)に通っているかと言うと、たいして難しい話ではない。こいつの父親の教育方針として、『普通』の生活を知らねばならぬ、と言うのがあるのだ。  それで、こんなとこにいるという訳だ。  そして――俺の幼馴染でもある、うちのオヤジが神巫グループの本社の副社長をしている関係で。こいつとの関係性をあらわす言葉にもう一個別のがあるのだが、俺は認めていないので言うつもりはない。  ちなみに、俺にたいした才能はない。勉強で人より理解がちょっと早いくらいだけど自慢出来るレベルではない。あとは、人をサポートするのが得意なくらいだ。
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