6/9
前へ
/16ページ
次へ
 しかし、万が一それが本当だったら……。  そう思っただけで身震いする。  事件は東から西、北から南といった形で、なぜか規則的な動きで発生している。  そこを考慮すれば、おそらく犯人は、計画的に殺害を繰り返している、という考えで得心はつく。  ちなみに一番新しい事件が、たしか東隣の街で起きたはずだ。この近辺では、東から西、という順で起きている。  とするとだ。彼の話が正しい場合、次に狙われるのは自分、という可能性はかなり高い。  相手は意味不明な、それこそ魔法のような手口を用いてくる。  対して、一般の中学生たる自分に、そんな相手から逃げ切る力はあるのだろうか。  …………残念ながら、ない。あるはずがない。  そこまで考えると、竜弥は途端に、強い、恐怖のようなものを感じた。  震えている。全身が。体のいたるところから、滝のような汗が吹き出す。  とまれ。これは夢。どうせ夢なのだ。自分は今、妙な夢を見ているにすぎない。  そう自分に言い聞かせるも、竜弥の震えと汗は、とまる気配すら見せなかった。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加