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『とはいえ、あなたにできることは、正直なところありません。しかし、知っておく権利くらいはあるでしょう』  淡々とした口調のソールに対し、竜弥はただ震えながら、彼の話を聞くしかなかった。  信じられる話かどうかはわからないが、それ以前にソールなる存在は、自分の味方のようだ。  下手に刺激はしたくはない。  竜弥は、極力穏便に事をすませることにした。 『今回の事件は、あなたたちの言うところの不可思議な力、簡単に言うなれば“魔術”を使役したものです』 「魔術?」  ソールが口にした、あまりにもリアリティに欠如する単語に、竜弥は思わずその単語を復唱する。  魔術。そんなものあるはずがない。ありえない。  竜弥に限らず、誰しもがそう断言するだろう。テレビにてうさん臭い超能力者はたまに見かけるものの、魔術ともなればもはや使える者はともかく、ハッタリや誇張の類で公言する者も皆無だ。  ファンタジーや、ごく稀な歴史小説にて取り扱われる。  この現実世界における魔術とは、その程度のものなのだ。この話を鵜呑みにする者は、もはや圧倒的少数では表しきれないほどの、本当にごく少数派だろう。
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