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しかし、犯行の手口がまったくわからないらしく、もはや警察もお手上げらしい。
とすれば、魔術など、得体の知れない力を持った者の犯行、というのが、一番つじつまが合う。
……わからない。
魔術であれどうであれ、自分が生き残る自信は、竜弥にはあるはずもなかった。
『どう思おうが、いずれはわかることです。そして竜弥さん、あなたはかなり大規模な出来事に関与しようとしています。これはもはや、回避不可能な事実です。身の回りの警戒は、絶対に怠らないように。あなたを、私は死なせたくはありませんから』
いきなりの出来事でわけもわからず、すっかり混乱気味の竜弥だが、自分は今、かなり不気味な事態に遭遇しているのはたしかだ。
仮にソールが言ったことが事実なら、さらに奇っ怪な、しかも命に関わるような事に足を踏み入れようとしているようだ。
絶対に夢であってほしい。
竜弥は、そう強く望むのであった。
『ひとまず、今話したいのはこれだけです。何かありましたら、また連絡します』
そう言って以降、もうその空間に、ソールの声が響くことはなかった。
ふと、強い眠気を感じた。
まぶたが、体が重い。頭がぼーっとする。
どれだけそこに立ち尽くしていたのだろうか。しばらくすると、いつの間にかその場に倒れ込んでいた。
何も考えず、さらにしばらく倒れていると、いつの間にか、竜弥の意識は、どこかへと旅立っていった。
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