悪夢、現実になりて

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「あら竜弥、今日は早いじゃない」  体中の嫌な汗をシャワーで流し、私服に着替えてリビングへ行ったところ、母が笑顔でそう言ってきた。  ふと時計を見ると、ちょうど午前八時過ぎを指していた。  たしかに、竜弥からすると早過ぎるくらいだ。  冬休みに入っての竜弥は、午前二時や三時に眠り昼過ぎに起きるという、なんとも不健康かつダメダメな生活を送っていた。いわゆる、昼夜逆転現象というやつだ。  そんな息子が珍しく早起きをするものだから、そんな言葉をかけられても文句は言えないのである。 「待ってて。すぐ朝食作るから」 「は~い……」  竜弥は母に気の抜けた返事をし、自分がいつも座っている椅子に腰をかけた。  なんとなくテレビに目をやってみる。すると、またしても誰かが殺されたらしい。ニュース番組で、例の高校生怪死事件について報道していた。  つい見入ってしまう。昨日までは、「またか」と軽く流せたのにだ。 『なお、現場付近では白いローブのようなものを身につけた不審な男の目撃情報がいくつかよせられており――』  そこで、テレビのチャンネルを変えてしまう。  自分も殺される。そう思うだけで、気が気ではなくなってくる。
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