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荒野が、広がっていた。何もない、ただ風が吹きすさぶ荒野。
ふと強い風が吹く。激しく、しかしそれでいて、どこか淋しげに。
その荒野に、二人の青年が立っていた。いや、まさに一触即発の状態で“対峙”していた。
「なぜだ、なぜこんなことをしたんだ? なぜ罪なき人々を殺したんだ!?」
まず、対峙しているうちの片方の青年が口を開く。
その青年は、鮮やかな金髪を風になびかせており、その髪に劣らない鮮やかな金色に輝く目を、悲痛な色に染めていた。
手には、白い立派な槍。武器とは思えないほどの、神々しい光を放っている。
しかしこの曇天の下では、その光も弱々しく、どこかはかなく感じられた。
「ハッ! なぜって、お前にならわかんだろう?」
と、もう一人の青年が、辛辣に毒づいた。
まがまがしい黒色の髪を振り乱し、金髪の青年を睨み据える紅目は、恨みや怨念を宿し、狂気じみた光を放っている。
手には、剣。青年の髪のように黒い、長剣。金髪の青年が持つ槍とは逆に、曇天の下で強く輝いている。
しかしその光には、やはり怨念や狂気が宿されており、まがまがしさをさらに引き立てていた。
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