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またしても、重い沈黙が流れる。
何か言わなければ。でも、何を言えばいい?
無理だ。かけられる言葉など、自分は持ち合わせていない。
「ハッ、結局だんまりかよ。見てみろよ。お前に俺を止めるなんてこと、できやしねえんだよ」
黒髪の青年から、またしてもきつい一言が発せられる。
その顔には、失望の色が濃く滲み出ている。
そして、やがてうつむき、お互い黙り込んでしまう。
「……もううんざりだ」
幾度目かの沈黙の果て、黒髪の青年は再び、消え入るような声で口を開いた。
「こんな糞みたいな世界で生きていけるかよ。殺してやる。全部ぶっ壊してやる!」
怒り、悲しみ、そして狂気。様々な負の感情が入り交じった顔で、青年は力強く言い放った。
そして金髪の青年に剣を向け、こう冷たく言い放った。
「次はお前が死ねよ。“英雄ライト”」
もはや彼を殺すことしか、道は残されていないようだ。
世界のため、彼をここで倒す。
青年は槍を低く構え、眼前に迫る“敵”を鋭く睨み据えた。
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