第十三話 ここにいるよ…

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「長州の奴等が乗り込んできたんだ!!」 「なっ……」 門番は思わず息を呑んだ。 (長州!?なぜこんな時に!!) 「急げ!!皆広間で戦っている!!」 民千代は目を吊り上げて大きな声で叫んだ。 門番は一気に青ざめて鍵を民千代に投げつけた。 「ここは任せた!!俺は戦ってくる!!」 男はそれだけ吐き捨てると慌ただしく広間へと走っていった。 「…民千代お前…」 「久しぶりだな楊介!」 民千代はニコッと笑いカチャリと牢の鍵を開けた。 「久しぶり。さっきの長州の話嘘だろ?何かあったのか?」 夜啝はのそのそと牢から出て民千代に話しかけた。 「おぉ御名答!!やっぱ楊介は凄いな! お前が言った通り永倉先生が『夜啝』とか言って暴れだしたんだ!!」 「…やっぱりな。」 私は分かっていた。 人間には直感で動く者と考えて動かない者の二種類がいる。 新八は思考を怠るタイプの人間だ。 (あの新八だ。焦って私の事を夜啝と呼ぶだろう。 もちろん周囲は夜啝など知らないと言う。 あの場にいない私を高杉晋作に殺されたとでも思い自分を責める…。 新八は直感で動くタイプだから名前を呼んで探し回るだろう…。) 「永倉先生の傷口は浅いけど広く開いていた。 動き回ると簡単に開いてしまう傷だ。 開いてしまう前に急ぐぞ!!」 「うん!!」 ……――――
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