第十ニ話 やっぱりお前だったのか

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「お前がやったんだろう?」 (何を根拠に……) そう思う反面、刀の事を思い出し新八に苛つく夜啝。 「なぜ永倉を斬った。」 (はぁ?なんで私が新八を斬んなきゃいけないのよ。) 「そうだと思うなら今すぐ牢に入れてください。 息苦しくて堪らない。」 ぶっちゃけ、本気で面倒臭いし臭い。 私はぶっきらぼうに答えてとりあえず近藤を見つめて笑っていた。 「それはお前が間者だと認めたととっていいんだな?」 いきなりのお馬鹿発言に私は心中で溜め息をつく。 (………頭に乗るなよ糞方。) 「だから違います。 この空気の中にいるよりかは冷たい牢の方がいいと思ったからです。」 私はスッと土方を笑顔で見つめた。 「私は五十人に疑わしげに信じられるよりも百人中一人に確実に信じられる方を好みます。 貴方は……違うのでしょう?」 土方は見るからに近藤を前者のようにしようとしている。 「単純明快。 貴方の脳はとてもつまらないルービックキューブね。」 浅はかなり、浅はかなり。 「るーびっくきゅうぶとは?」 近藤が疑問を投げ掛ける。 「じゃあ…知恵の輪とでも言っておきましょうか?」 夜啝はクッと笑った。 こんな事も分からないのかという、嘲笑い。
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