第十ニ話 やっぱりお前だったのか

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(こいつの言っている事が事実だとしたら俺は無実の者を殺してしまう事になる…) 土方はもう一度夜啝を見た。 ニコニコと笑っている夜啝。 殺気も出さなければうろたえる様子もない。 (……ここは一時保留だな。) 「…柏崎岾啝。お前を永倉新八が目覚めるまで牢に容れておく。 局長。異論はありませんか?」 土方は夜啝を睨みながら近藤に合否を求める。 「…無い。」 静かに近藤が告げた。 これで夜啝は牢に入る事が決定した……… 「では局長、牢に容れてくる。」 「おお、頼むぞ。」 土方は立ち上がり夜啝の元へと歩み寄ってきた。 「おい、立て。」 夜啝は無言で立ち上がった。 「来い。」 土方は無理矢理夜啝の腕に付いた縄を引っ張った。 つられて夜啝の足も前へ出る。 「では皆さん失礼致しました。」 『スタンッ』 夜啝は冷たい部屋にニコリと微笑みを残していった…………… .
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