第十三話 ここにいるよ…

4/14
前へ
/278ページ
次へ
「…これも全てはあの男のせいで」 ぽつりと総司が呟いた。 「おい総司…」 藤堂が口を挟む。 「…そうだよな。元はといえばあいつのせいだ。」 原田も後に続く。 「おい…左之もやめろよっ!」 「病かもしれないんだぜ…?あの男の…柏崎のせいでだ!!」 最早二人の耳には藤堂の言葉など届いておらず… 原田が畳をドンッと拳で殴る。 「柏崎のせいでっ…新八がっ!!」 「やめて下さいませんか、その話。」 燐とした低い声がした。 「「「え…」」」 三人が民千代を見ると 民千代は顔を真っ赤にして歯を食い縛っていた。 「楊介は貴方達の思っているような事は何一つしておりません!! 前言撤回して下さい…!」 強い怒気には悲しみが見え隠れし、表情には微かに怯えが浮かんでいた。 「あのなぁ…林。 あいつはお前の尊敬する新八を斬ったんだぞ?」 「だって僕は本人から聞きました!!違うと!!斬ってないと!!」 原田ははぁーっと深い溜め息をつく。 「こんな事言いたくないんだけどな…。 林。お前はな、あいつにうまく言いくるめられたんだよ。」 「いいえ!言いくるめられてなんかいません! 貴方達が信じていなくても私は彼を信じていますから。」 民千代は畳を睨みながら強く良い放った。
/278ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2527人が本棚に入れています
本棚に追加