第十三話 ここにいるよ…

6/14
前へ
/278ページ
次へ
「…ゲホッゲホッ」 その時苦しそうに新八が咳をした。 「あっ!永倉先生。」 民千代はいそいで新八の背中を擦る。 「ハァ…え…どこ…あれ…?」 寝ぼけてキャラが定まらない新八はクラクラする頭を押さえて更に咳き込んだ。 「大丈夫か?」 原田は民千代が淹れてくれた冷たいお茶を渡す。 「んン…」 新八は両手で湯飲みを受け取りお茶をちょっとずつ飲んでいく。 「…ありがと」 湯飲みをことりとお盆に置いて周りをフルフルと見回す。 熱のせいで赤い顔。 荒い呼吸。 咳のせいで潤んだ瞳。 乱れてビロビロな着物。 ((((なんか…可愛いっ!?)))) 誰もがそう思うくらい新八は可愛いかった。 「ねぇ…よかは?」 新八が不安そうな顔で呟いた。 「よか…?なんだそれ?物の名前か?」 原田が首を傾げる。 「よかは……ない?」 新八はカタカタと震えながら青ざめた顔で原田を見つめる。 しかし原田はそんな新八の異変に気付かない 「よかって何だよ。そんなもんねぇよ。」 (よか…?) 民千代は夜啝の言葉を思い出した。 『永倉先生が…『夜啝』と言って暴れだしたら俺を呼んでくれ。 牢に居ようが…絶対にだ。』 .
/278ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2527人が本棚に入れています
本棚に追加