第十三話 ここにいるよ…

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新八が何かを手に取ってブンッと投げた。 『ゴッ…』 「…………つっ」 鈍い音がして頭に鋭い痛みが走る。 思わず夜啝はその場に膝をついた。 「楊介!!!」 一瞬何が起こったのか分からなかった。 足元を見ると血の付いた湯飲みが転がっていたから。 気付いたら頬が濡れていた。 なぜ泣いたのかは分からない。 自分の意思では無いのにポタポタと雫がこぼれ落ちるから。 「楊介……?」 新八は暴れるのをやめて不思議そうな顔で夜啝に近寄った。 「……何ですか。」 こいつは裏の新八。 楊介に用は無いだろう… 「泣いてるの?」 新八は指で夜啝の涙を拭う。 「大丈夫?」 やめてよ。 貴方と楊介は無関係の筈でしょう? 優しい笑顔を向けないで。 どんなに荒れてしまっても 新八の優しさは 変わらなかった。 溢れだした涙は 底をつく事を知らないから。
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