第十四話 口だけなら貴方はいらない

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「……俺はてっきり新八の事だと思ってたんだが。」 (大正解だよ。) 夜啝はクスクスと笑いながら土方を小馬鹿にしたような目で見上げる。 「私と永倉さん仲良く見えますか? 永倉さんは全く笑いませんし全く泣きませんよ。」 土方は『それもそうだよな』と言って小さく頷いた。 「土方副長殿。そろそろ出て行って下さいませんか? 後は私が看ますので御安心を。」 土方を真っ直ぐ見つめて賛否を求める。 土方は軽くたじろぎながらも首を縦に振った。 「おい林。行くぞ。」 「はい…………」 民千代も俯いたまま立ち上がる。 『パタン………』 「あーあ嫌んなっちゃう。 あからさまに悲しまないでほしいわ。」 私はふうーーっと溜め息をついて 流石和室は底冷えする。 畳が温かいのは嘘なんだろうか? さっき沖田が来た時外はまだ明るかった。今は昼すぎ位だろう。 夜啝は沖田が置いていった服をちゃっちゃと着込んでいった。 「…着心地悪ぃなオイ。」 何だか嫌にぺたぺたと張り付く服を摘まんで怪訝な顔をする。 .
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