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「なんだ。ここの隊士はこんな奴ばかりなのですか。」
けろりとした顔で沖田を見つめる。
周りから見たらただ単に夜啝が沖田に呼ばれて振り返ったようにしか見えない。
夜啝は竹刀を取りに沖田の隣をすり抜けた。
「…名前も性格も全て嘘で塗り固めるんですね。
不愉快な事この上ない。」
すれ違い様に沖田はぼそっと呟いてやった。
夜啝はちらっと沖田を見て一瞬だけ妖しく笑っただけで歩いていった。
――――……
「じゃあ沖田さん!
やりましょうやりましょう!!」
楊介は嬉しそうにブンブン竹刀を振り回す。
「貴方は素振りせずともよろしいのですか?」
楊介はへらへら笑いながら沖田の素振りを見つめている。
「素振りってただ疲れるだけだから嫌いなんですよね。
ほら、手も痛くなっちゃうし?」
「手も痛く…って貴方…」
「だって竹刀なんて試合の時にしか使わなかったから………俺、数十回竹刀握った位もん。」
自信満々に笑う楊介に沖田はあんぐりと口を開けたまま固まった。
「し…竹刀のみですか!?貴方そんなので強いって…」
確かに楊介は腕が細いし手に蛸の様な物は見えなかった。
(これは…私で終わってしまうかもしれませんねぇ…。)
「実力は確かですから!
あ、でも人を殺した事もまだ一回もありませんよ?」
呆れ顔の沖田は次の言葉を聞いて背筋を凍らせる。
「沖田さん本気でかかって下さいよぉ…。
沖田さんが死なない為に竹刀にしたんですから。」
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