第十五話 素質と努力

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「だって俺試合って言っても数十回だけですよ? 我の流儀なんて自分でも分かりませんし。」 「…そうですか。」 「両者、構え!!」 沖田はすっと木刀を構える。 (………?) しかし夜啝は構えずにへらへら笑いながら立っている。 「江ノ本さん構えを。」 「俺構えとか分かんないんですよね。 これで始めちゃって下さい。」 もういいこの人面倒臭い。 「で…では!………始め!!」 今戦いの火蓋が切って落とされた。 沖田は夜啝をじっと見つめる。 (なんだこの人は…。隙だらけじゃないか。) 夜啝は竹刀を指に引っ掛けてくるくると回している。 なぜか彼女は殺気も様子を探る気配も微塵にも感じさせないのだ。 「沖田さーん掛かって来て下さいよ~」 夜啝は回していた竹刀をぱしっと握り眉を寄せて沖田を見た。
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