第二十一話 間違うことなかれ

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「…ですって。沖田さん落ち着いて下さいね。」 「どっちがですか…。」 ブツブツとなにか呟いている沖田を尻目に、夜啝はにっこりと笑って振り向いた 「彼は一番組頭兼副長助勤の沖田総司さんです。偉そうですが、その実態は我が儘で幼稚で殆ど仕事しない糞餓鬼幽霊組頭です。 沖田さん。取りあえず佐々木さんと楠木さんです。あとはご自分でお調べ下さい。」 後半の冷たい口振りに沖田は夜啝をハッと鼻で笑う 「…悪かったですね幽霊組頭で。 佐々木さん、楠木さん、私今はこんなですがこの男意外には優しいですから。よろしくお願いします。」 ぺこり、と律儀に頭を下げる沖田に楠木は軽く会釈をした が、佐々木はにこにこと笑ったまま沖田の顔を覗き込む 「一番組頭ってことは、君は強いんだ。」 「え?はあ…まあ、一応は。」 「へえ。私は一応強い人に勝っちゃったんですね。」 ぽつり、とそう呟きながら夜啝は沖田を見てせせら笑った 沖田は不愉快極まりない顔でギロッと夜啝を睨み付ける 「…うるさいですね。あれはせこい手を使われたからじゃないですか。」 「せこい手…といいますと、心理戦ですか?」 「まあ、そうですね。」 佐々木はふーん、と納得したように頷いて大きな瞳で沖田と夜啝を交互に見た 「今度お二方の手合わせでも拝見したいな。沖田…先生?俺は佐々木愛次郎。よろしく!」 「あっ…楠木小十郎です!わ、私もよろしくお願いします!」 焦ったように楠木も挨拶を付け足して頭を下げ、沖田も微笑みながら返事を返した (こいつらは仲良く出来そうだね。まあ敵同士だけど。) その時、夜啝は次に挨拶する人物らを思い浮かべて、夜啝は少し眉を潜めていた 「…沖田さん。では夕餉の仕度までには帰りますから、残業お願いします。」 夜啝は早口で言葉を並べると後輩二人の手をとって廊下に出た 「では、頑張って下さい。」 それはそれは、燦々とした明るい笑顔で 「ちょっと!?貴方仕事怠けたいだけで『スパンッ!!』 「――さ、行きましょうか。」 「ちょっ…いいんですか?沖田先生上司じゃ…というか、江ノ本先輩…何か怒ってま「沖田さんなら大丈夫です。あと怒ってませんから。」 ピリピリとした素早い返事に楠木は口をつぐんだ 絶対怒ってるじゃん…とか思いながら、楠木は自らの先輩をチラ見する 目ざとく気付いた佐々木は楠木ににっこりと笑いかけてから夜啝の方に視線を反らした
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