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「とりあえず……布団に戻ろう?風邪引いちゃうよ」
「でも――」
「戻るの!!」
僕が強くそう言って手を引くと、クラインは黙ってついてきた。
涙も拭わずに僕に手を引かれるクラインは、見たことも無いほど弱々しい姿をしていた。
――いや、違う。
僕はこんなクラインを1度だけ見たことがある。
『ダイシぃっ!行かないでえぇ……!』
あの時みたいに顔を歪めて泣きじゃくってるわけじゃないけど、今のクラインは11年前のクラインを思い出させる。
今のクラインは、全身で泣いている。
大丈夫だよ、クライン。
今度こそ僕は、この手を離さない。
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