卯月 ―空―

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するとマサキ君の左隣から、お友達のカズ君もお花を覗き込む。 「へー。マサキの花にしてはいいんじゃない?」 「何だよ、それー?」 「別にー?ダイシ先生、俺のは?」 カズ君とマサキ君はクラスもマンションも同じで、仲良しさんだ。 ちょっぴり生意気なカズ君の作品は淡い色の花ばかりを使っているせいか、繊細で大人びている。 それでも、カズ君の選んだ丸みを帯びた小さい花は可愛らしくもあって。 「カズ君のも、すっごく綺麗だよ。僕がもらって帰りたいくらい」 褒めると照れたように笑うカズ君そのものだ。 ホント、お花って活ける人の性格が表れるんだよね。 カズ君は独特のはっきりとした口調で、少しだけ威張って見せた。 「俺、今日は本気出したからさ。桜好きなんだ!」 「へー。おれはチューリップとかの方が好き!」 「マサキはお子さまだからな!」 「だってチューリップの方が可愛いもん!!」 「桜は日本の心なんだぞ!」 仲良く言い争っている2人を見ていると、昔の僕とクラインを思い出す。 どちらかというと……僕がマサキ君で、クラインがカズ君かな? クラインもちょっとませた子供だったから……。   
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