卯月 ―空―

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「ね、先生?」 僕が1人思い出していると、突然カズ君が僕に話しかけてきた。 「えっ!?ごめん、聞いてなかった……なに?」 「先生、どんだけボーっとしてんの?オトナだろ!?しっかりしろよー」 カズ君に怒られちゃった。 「怒っちゃダメだよ。せんせーだって高校生なんだから、オトナじゃないよ。まだまだコドモだよ」 うぅ、マサキ君のフォローが地味に痛い……。 っていうか、それフォローなの? カズ君は大げさに溜め息をついて、話の続きをしようとした。 「マサキが夜桜見たことないって言うから、説明してたんだよ。でもこいつバカだから、『夜は桜見えないでしょ?』だってさ」 「夜桜?カズ君、見に行ったの?」 「こないだばーちゃんちに行った時、帰りが遅くなっちゃって。たまたま見ただけなんだけど、すげーキレイだったよ!」 得意げに語るカズ君に、マサキ君が唇を尖らせる。 「えー!でもさ、昼に見る方が絶対キレイだって!みんなでお弁当とかお菓子とか食べるのも楽しいし!!」 「分かってないなー、マサキは」 大人ぶって溜め息をつくカズ君がおかしくて思わず吹き出したら、カズ君に睨まれた。 夜桜か。 しばらく見てないけど、昼に見るのとはまた違って良いんだよねぇ。  
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