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「ダイシ、帰ろっか?」
「うん。ありがとう、クライン」
クラインが立ち上がると、ショウ君が残念そうに声を上げる。
「えー!クラインさん帰っちゃうのー!?」
「ごめんなー、また来るから」
不満そうに唇を尖らせるショウ君の頭を、クラインが僕にしてくれるみたいに撫でる。
「うー……また来てよ?絶対だよ!?」
「あぁ。約束する」
ショウ君の顔が次第に綻んで、最後にはニッコリ笑ってくれた。
その場にいる皆がクラインに微笑みかける中、1人だけ真剣な表情でクラインを見つめて何かを考えている子がいた。
学級委員のサトシ君だ。
それに気付いたクラインが、屈んでサトシ君と目線を合わせる。
「どうした?サトシ君」
「……クラインさん、本当にダイシ先生のいとこなの?」
サトシ君は不思議そうな顔で僕とクラインを見比べている。
「そうだよ。さっき言っただろ?」
「でも……クラインさんの目の色、ダイシ先生と違う。普通、家族って同じ色だよ?」
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