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「…おい、あいつら特徴が似ていないか?」
二人のうち、年配の方の制服警官が指差した。
「えっ?…どこですか?」
若い警官が指差す方向を見た。
「ほら、あの二人」
「…あっ!本当だ!」
若い方も確認して声を上げた。
警視庁から緊急入電があり、若い男性がクラブにて撲殺された…
との事件が発生、犯人と思われる若い男女の特徴が情報として流され、駅前派出所のこの二人の警官も、徒歩にて巡回の最中だった。
二人の警官が確認したカップルは、まさしく情報にピッタリと一致していた。
カップルはのろのろと、交差点を横切っている。
「職質かけよう。行くぞ」
「はい!」
警官達は小走りに対象のカップルに近付く。
「…すいません!お二人さん、ちょっといいですか?」
年配の警官が、カップルの後ろから声をかける。
「…あ?…」
カップルが振り向いた。
…手配のカップルに違いない!…
その瞬間、警官達は確信した。
二人とも目が異様に充血して真っ赤だ。…それに…
男の方の両手には血が付いている…
遠目には何かのペイントに見えない事もなかったが、近くで見ると明らかに血だ。
彼の拳は、皮が剥けて血が出てもいる。怪我をしているらしい。
警官達に、緊張が走った。
「…おまわりさ~ん…へへっ…なーんかご用で~すかぁ~?」
男…ケンジは、ヘラヘラと笑いながら言った。
「…君達、どこから来たの?…君、怪我をしてるんじゃないか?
手が血だらけじゃないか?」
年配警官が、心配そうな顔と口調を作りケンジに言った。
「…ああ、これか~い?…ちょっと遊んで来ただけさぁ~…ヘヘヘ~…」
…明らかに様子がおかしい。
「…ちょっと、話を訊かせてもらえるかな?…少し歩けば、交番があるからそこで…」
事情聴取の為同行を促すが、
「…やぁ~だよ…へへっ…めんどくせーし…」
ケンジは拒絶した。
「そうはいかないんだ。この近くで事件があったんでね」
「…君!何をするんだ!?やめろ!」
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