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ケンジはそれを見て、笑いながら言った。
「おお~!根性出してんじゃん!オッサン!へへへー」
「…よくも…よくも神田をーーっ!」
ケンジは立ち上がろうとする警官の腹に、蹴りを放つ。
「…ぐほぉっ!」
警官は再び地に這いつくばった。
「…もうトシなんだから、ムリしちゃだめじゃな~い…おじいちゃ~ん」
ケンジは言いながら更に腹を蹴る。
その威力は尋常ではなかった。
先に殺された若者同様、警官も既に内臓がやられていた。
「苦しいか~い?辛いか~い?…へへへへへ~」
嬲(なぶ)り殺しだ。
息も出来ない様の警官を、ニヤニヤと笑い眺めていたが、奪い獲った拳銃の銃口を警官の背中に向けて、ケンジは言い放った。
「死んじゃえ」
パン…と乾いた音。
パン…もう一発の銃声。
二人の警官が息絶えた…。
「チヒロ~?…いくぞ~」
興味が失せた玩具から目を離す様に、ケンジはチヒロに視線を移した。
「ど~こ連れてってくれるのさぁ?」
「…わかんねぇよ、そんな事…」
ケンジはうすら笑いを消さずに、またのろのろと歩き出した。
「…ケンジ~待ってよぉ~…」
遠巻きに物陰で見ている人々の目など、最初から髪の毛ほども感じていない
二人の姿は少しずつ、人々の目から遠ざかっていく。
…だが、このカップルの行き先は、もう決まっていた。
彼等はもう、後戻りは出来ない道を歩いてしまっていた…。
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