Overdose Of Evil

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合計三名の命を奪ったカップルは、警戒する事もせず歩き続ける。 その二人の横をパトカーが追い抜き、走り去ろうとしたが… すぐにパトライトを回し、サイレンを鳴らすとともに、Uターンをして向かって来た。 10m程でパトカーは停止し、開けた助手席ドアを盾に警官一人が拳銃を構えて叫んだ。 「そこの二人!拳銃を捨てろ!…皆さん逃げて下さい!」 行き交う人々もパトカーが止まる以前に、カップルが拳銃を持っているのを、確認している人間が多かったらしく、カップルの近くに人はいない。 警官の注意喚起で…人々の姿は更に遠くなった。 パトカーを運転しているもう一人の警官は、無線で交信しているようだ。 「なんだよ~…お巡りウッゼーなぁ」 ケンジが足を止め言った。 「おい!お巡り!ほっとけよ!…殺しちゃうよ~こらぁ~へへへ…」 ケンジが拳銃を無造作に構え、パトカーにゆっくりと歩く。 「…止まれ!拳銃を捨てろ!撃つぞ!」 警官が威嚇射撃の為、空に一発発砲した。 「…それがどーしたぁ~?ハハハハハ~!」 ケンジは歩みを止めない。 警官はケンジに向けて引き金を引いた。 銃声とともに、ケンジの右肩が弾けた。 しかし、ケンジは足を止めない。 それどころか、今度はケンジが警官に発砲した。車のドアが火花を散らした。 警官は焦って助手席に座り、ドアを閉めて運転手に叫んだ。 「…バックしろ!!早く!!」 「わかった!…」 運転席の警官がギアをバックに入れて、後ろを向きながらハンドルの操作を始める。 「…あいつどうなってるんだ!?肩に当たったのに!?…えっ!?…」 助手席の警官が、我が目を疑った。 カップルは、バックするパトカーを追いかけて、走ってくる。 フロントに映る彼等の姿が遠くならない。 足が恐ろしく速い。 「…なんなんだ!?あいつら!?」 カップルは、笑いながら拳銃を撃って来た。 弾丸が、フロントガラスに当たって蜘蛛の巣状に曇る。 「おい!もっとアクセルを踏め!」
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