Overdose Of Evil

12/13
前へ
/78ページ
次へ
追う方と追われる方が、完全に逆転してしまった。 直線をバックで走るパトカーにぶつかるまいと、後続車が慌ててハンドルを切りやり過ごしていく。 優に200mは走行した。 …しかし、カップルとの距離は縮まらない。 笑ったまま追いかけてくる。 「なんだあいつら!?有り得ない!そんな馬鹿な!」 「まだ付いてきてるのか!?だいぶ走ってるぞ!?」 二人の警官は、明らかにパニックになっていた。 常人ではない。 オリンピック選手以上の体力と脚力だ。 「…わわっ、うわわぁーっ!」 運転している警官が、突然叫び声を上げた。 「…えっ?なん…」 助手席の警官が、何事かを尋ねようとする間もなく、とてつもない衝撃が走った。 パトカーは赤信号の交差点にさしかかり、そのまま進入してしまった。 左側からの進んで来た車が、急ブレーキをかけたが止まりきれずに、パトカーの後部側面に突っ込んだ。 パトカーは衝撃を受け、右に半回転して止まった。 中の警官達は、無事に済むはずもなかった。 両名ともサイドガラスに頭を打ち付け、気を失った。 そこに、カップルが追いついてパトカーのボンネットに跳び乗った。 「ハァハァハァハァ…ヒヒッ、ヒヒヒヒヒ~… ハァ、ザマァねえな、お巡り~」 ケンジが嘲笑いながら拳銃の銃口を、警官達に向ける。 横にいるチヒロが言った。 「ハァハァハァ…ハハハハ~…ケンジぃ~面白いね!アハハハーッ!」 「…ああ、こいつら殺っちまって、弾丸もらっちまおうか?ヘヘヘ」 「殺っちゃえ殺っちゃえ~!アハハハーッ」 そこに多数のサイレンを鳴らして、何台ものパトカーが猛スピードで、あっという間にケンジ達の周りを取り囲んだ。 車を降りた警官達は、それぞれのパトカーを遮蔽物にし、拳銃を構えた。 「お前ら!拳銃を捨てろ!何をしてるのか分かってんのか!?コラぁ!!」 一人の警官が怒鳴った。同僚が犠牲になって、頭に血が昇っている。 「うるせーよぉッ!マッポがぁ~!ウジャウジャ湧いてきやがって!…こいつら撃ってもいいのかよ!?」
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

138人が本棚に入れています
本棚に追加