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「くっ!…」
警官達全員が硬直した。
事態は最悪だ。
手も足も出ない。
「…さぁ…どーするんだよ~?こいつら死んじゃったら、あんたらのせいだぜ~…ヘヘヘッへへへ…」
「そーだよ~お巡りさ~ん…アハハハハハハハ~…」
カップルは高笑いを止めない。
…だが…
彼等は、もう…
「へへへ…ヘッ?ヘヘッ!ヘッ?…あ?…うっ!うぅ…う…」
ケンジの笑い顔が引き攣(つ)り、真顔に…そして苦悶の表情に変わった。
「アハハ~…なぁにケンジぃ~ハハハ、どーしたのよ?ハハハハ…あっ?ぁぁぁあああーッ!」
チヒロもケンジと同様の表情に変わる。
その状態を見て、取り囲んでいる警官がざわついた。
「…なんだ?…奴ら、どうしたんだ?」
やがてカップルが…
「…ギャーーーァアッ!…いてぇーーッ!」
叫び声を上げ、拳銃を落として腕を交差させ、肩を抱きながらボンネットを転げ落ちた。
「…たっ、たっ、たすっ、助けてーーっ…いってぇーーっ!」
「…確保だ!確保ーっ!」
警官全員が急いで、カップルに駆け寄り銃口を一斉に向けた。
警官の一人が、ケンジの肩を揺すり、訊いた。
「おい?どうした!?」
「ぁあ!…いってぇー!触るな!触るんじゃねぇー!…あっ!ぁぁあーっ」
ケンジの体から、ぶちぶちっと不気味で大きな音がした。
チヒロも叫びながら、体から同じ音を出した。
「…なっ、なんだこいつら!?」
警官全員が、カップルの異様な変異を目の当たりにした。
二人は、目、鼻、口から血を流し、物凄い形相で絶命した。
体も一気に萎(しぼ)んだ体型になってゆく…。
ミイラまでとはいかないが…内出血だろうか?全身がドス黒い紫色に変色する。
まるで、一気に時間が流れた様な映画の特撮を見ている様だ。
警官達は言葉も、動きも忘れて見つめ、固まった。
ようやく一人が口を開いた。
「…こいつら…一体…なんなんだ…何があった?…」
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