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「…ふう…ケンジ…あんたの方はどうなの?」
「もちろん持って来たさ!」
「オッケー!…先に行くわよ?」
「おお!俺もすぐ行くよ」
言葉を交わした後、チヒロがカウンター横のトイレに歩いて行き、ドアを開けて姿を消した。
「…リョウ、同じヤツ、もうワンショット!」
ケンジがショットグラスを前に出し、酒をリクエストする。
「…はいよ!」
リョウがテキーラを注ぎ入れる。
先ほどのチヒロの分と今の酒のチケットを渡し、ケンジはテキーラを飲み干した。
普通は強い酒なので、食道を伝う感覚が熱さとなって流れるのがわかるが…
「…効かねえ…ヤッパあれじゃなきゃ…」
ケンジはそう呟くと、高い止まり木から降りて、音楽のリズムに合わせながら、チヒロの後に続きトイレに消えた。
ドアを開くと通路があり、左側に並んで、奥に男性用のトイレのドア、手前に女性用のドアがある。
通路には、チヒロが腕を組んで立っていた。
黒髪のショートカットに金色のメッシュがちりばめられ、青いアイシャドーに煌めくラメ…
唇には淡い紫のグロス。
タイトな黒のレザージャケットに、レザーのホットパンツ。
ケンジに合わせている様なファッションだ。
チヒロは胸ポケットからピルケースを出し、言った。
「…ねぇ、待ちきれないよぉ~…そっちの出して」
「…あぁ…」
ケンジもレザーパンツからピルケースを出し、蓋を開けた。
手の平に振り、中身を出す。
白い鎮痛剤の様なタブレットが二粒出てきた。
その一粒を、舌に乗せて飲み込んで、もう一粒をつまんで、チヒロに渡す。
チヒロは受け取って、やはり飲み込んだ。
そして今度はチヒロが、ピルケースからライトグリーンのタブレット二つを出して一粒飲み込み、一粒をケンジに渡す。
ケンジが受け取ってそれを飲み込む。
二人は笑いあった。
「…ヤッパこれだよな?…クルぞ~もうちょい…」
「…これ、まだ目がつけられてないから、いーんだよねぇ~…キマりかたハンパないしぃ~…」
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