ナクシタモノ―上―

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「で?何がなくなったんだよ」 そう尋ねた涼都はやはり、鋭いと思う。 誰も無くなったまでは言っていない。 というか、涼都は何気ない口調やタイミングでハッとする事を言うのだ。 涼都の目は誤魔化せない。 もちろんそれは従兄弟の雪人も同じだった。 雪人はやや青ざめた東に何か言おうと口を開く、その時だ。 「設楽は生きてるか?」 そう杞憂が会議室に飛び込んで来たのは。 「!!!」 「杞憂じゃねーか。お前なんでここにいるんだ」 「俺が生きているかってどういう事?」 思わぬ登場に、雪人はぎょっとし、口々に反応した2人は杞憂の表情の真剣さに同じく表情を引き締めた。 「いや、さっき羊に会ったんだが……話すと微妙に長いな。―――あ、ついでにコレ受け取っとけ」
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