ナクシタモノ―上―

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涼都、雪人、東は3人同時に首を傾げた。 (今、なんか……) 変な事を聞いた気がする。 「羊が――言ったの?」 そう東がパチクリとして杞憂に言うと、彼は大きく舌打ちして渋い表情を浮かべた。 「本来ならまず校舎に羊がいた事実すら認めないところだがな。言っておくが頭はおかしくなってないからな」 まぁ確かに東が同じ場面に遭遇したならまず自分の頭を疑うだろう。 杞憂も疑ったらしいが羊の話した内容が内容なので確かめに来たようだ。 「ふーん」 そうつぶやくと涼都は尊大な動作で壁に背を預け、雪人に尋ねた。 「その羊、成長するにつれて人語を話したり、魔力が大きくなったりするんじゃないだろうな?」 質問というより確認の投げかけに雪人はため息をつく。 当たりらしい。 涼都は東に目を向けると先ほどの質問を繰り返した。
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