ナクシタモノ―下―

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そう宇崎が面倒そうに頭をかく。 その様子に涼都は疑問が浮かんだ。 「昨日は乗る気だったのに今日はえらくテンション低いな、お前」 昨日東に、別に自分達が探す必要はないと言われた時には渋い表情をしていた。 だから宇崎は羊を捕まえたい派なんだと思っていたのだが。 涼都が人混みから目を向けると宇崎は昨日より渋い表情をしていた。 その目は恨めしげに涼都を見ている。 「――………時々思うんだけどさ。お前俺の事先輩だと思ってないだろ」 「は?」 一瞬、意味がわからなかった。 しかしすぐに、いつも先輩である宇崎に向かってタメ口はもちろん、お前だのてめぇだの色々暴言をはいている事に思い当たる。 「……まぁ確かに先輩というより友達か近所のお兄ちゃんってカンジだな」 そう涼都が言うと宇崎はため息をついた。
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