ナクシタモノ―下―

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「まぁ、別にいいけどさ。むしろ御厨が敬語とか寒いし」 「自分だって失礼な事バンバン言ってるけどな」 涼都はそう言いながら人の流れに目をやる。 宇崎は従兄弟の東や教師以外で自分にそんな態度の人間は初めてなのだろう。 というか今さら宇崎と最初に会った時、3年に絡まれた事を思い出す。 あの時は3年生なのに宇崎を見た途端、彼らは怖がりだした。 確かその時こうは言ってなかったか。 『宇崎にケンカ売って無事だったヤツはいない』 「…………………」 さすが俺様。 今までけっこう危険な橋を渡っていたようだ。 宇崎は第三ボタンを外しながら涼都に笑いかける。 「ま、東や杞憂と組むよりお前と組めてよかったけどな、俺は」 その意見には涼都も激しく同意した。 なぜ、この場には涼都と宇崎しかいないのか。 そしてなぜ、杞憂と東はいないのか。 それは昨日の放課後に遡る。
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