ナクシタモノ―下―

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「じゃぁ俺と涼都、杞憂と雪人でいいじゃない」 「「「嫌だ」」」 全員から反対されて東は少々不満な顔をする。 「だってそれが一番自然な流れじゃない」 「嫌だよ。何でこんな時までお前と一緒に校内かけずりまわんなきゃいけないんだ」 冗談だろ、と却下した涼都に東は『えー』と非難の声をあげたがキレイに無視。 というか聞こえなかった事にした。 一方、宇崎も不満そうに提案者の東に訴える。 「だいたい俺は杞憂とは初対面じゃないにしろ、ろくに話したこともねぇんだ。組んでもいい方向に向かうとは思えねー」 「確かにな。それは俺も同意しよう」 杞憂は嫌そうな、苦々しい表情をしていた。 こいつの場合、宇崎と、というより誰かと組むという事が嫌なんだろう。 しかし杞憂だけ行動されても困る。 涼都はしばし沈黙した。
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