ナクシタモノ―下―

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確かに周囲から喧騒とは違った、ざわざわとしたざわめき……というよりどよめきが聞こえる。 しかもだんだん大きくなっているとなればいきなり当たりの可能性もアリだ。 「羊か?メリーのヤツがやって来たのか?」 そう言いながら宇崎の横に顔を出した涼都はあまりのことに目を疑った。 「そんなに見つめなくともミッシェルはみんなの心の中にいるよ★」 ウインクしてバラに口づけするその姿に涼都、宇崎含め周囲の人間は文字通り凍りついた。 「………………」 (み、ミッシェル?!) キラキラと輝く金髪が優雅に風に吹かれる、ある意味まばゆい姿に周りの生徒達は一瞬にしてその場を離れた。 その行動の速さはまさに金メダルだ。 先ほどの喧騒はどこへやら、瞬時に水を打ったような静けさが辺りに満ちた。 相当ミッシェルに引いたらしい。 出来れば涼都もそうしたかったぐらいだ。
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