ナクシタモノ―下―

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アレは誰にも見られちゃいけない。 いや、何なのかわかってもらってはいけないのだ。 雪人はアレがどういうモノなのか、元々知っている。 昨日の東の反応でだいたい何が盗まれたのか見当はついているはずだ。 もし、見つけたのが杞憂でも東は適当にごまかせるだろう。 ただ、彼だけは。 涼都だけには見つけて欲しくない。 知識も魔術師としても超一流な彼はすぐに気づく。 アレがどういうモノか、東がどういう事になっているか。 これだけは隠し通さなきゃいけない。 だから組むなら涼都と組んで見つけるのは雪人にして欲しかった。 なのに、結果は最悪だ。 見つけて欲しい人と見つけて欲しくない人が同じ組なんて最悪以外に言葉も見つからない。 東は軽く息をはくと頭を振った。 これは、彼らより早く自分が見つけなければ。 「ところで、時にお前」
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