ナクシタモノ―下―

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杞憂の問いかけに東はゆるりと目を向けた。 「今日一日中、物が見つかるまでこのまま探し回るつもりか」 「………………」 東は思わず黙りこんだ。 この質問は予想外だった。 というか何が言いたいのかいまいちよくわからない。 東は笑顔のまま軽く首を傾げた。 「それはどういう事?」 「どういう事も何も俺はお前が何の策もなしに歩き回って探すつもりか、と聞いている」 あぁ、と東は納得した。 つまり…… 「君は何の策も浮かばないから、地道に探す方法以外の何か画期的なものを俺に要求してるんだね」 「人を手詰まりみたいに言うな! 俺だって地道に探す以外の方法ぐらい考えてはあるんだからな!」 それは驚いた。 こう見えて意外と杞憂も涼都みたく奇抜なアイディアを出したりするかもしれない。 少々、期待を寄せて東は尋ねた。
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