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おのずと東は気づいてやるはずだ。
動きが読みにくいから杞憂を通して誘導してやった。
杞憂は俺並みにプライドが高いから絶対に俺から聞いたなんて死んでも言わないだろう。
東は誘導の事実には気づかない。
だから、こちらはこちらで探すとしよう。
下手に手法が被っては二度手間だ。
涼都は宇崎を振り返って言い放った。
「宇崎――…頼むから制服着ろよ」
しまった。
カッコよく締めるつもりが思わず素直な感想が口をついて出てしまったではないか。
つーかさっきまで第三ボタンまでしか開けてなかったのに何で半裸?
普通ここはせめてシャツ全開だろーが。
「だから言ったろ。俺はこれが自然体なんだ。いつか下も脱いで完全なる自然体になる」
「そしたら完全なる犯罪者だな、お前」
いっそのこと牢屋にでも放り投げたい心境になった涼都はもう一度、宇崎に言った。
「ところで宇崎、その羊って誰がどうやって飼育してたんだ?」
気を取り直して締めである。
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