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幼い私は限界を感じていた。
しかし、それは母も同じだった。
息子と娘から暴力を振るわれる日々に耐えかねた母は、私が中2の冬にとうとう家を出て行ってしまったのだ。
父と兄二人は私を責めた。
兄は自分のことを棚にあげ、母が家を出た原因は全て私のせいだと言い、母に代わって洗濯などの家事を全て私に押し付け、何が何でも探し出せと命じた。
知人の家に電話を掛けたり自転車で市内を走り回ったりし、とにかく毎日のように必死になって母を探した。
友達に誘われ遊びに行って気を紛らわそうとしても、無意識の内に母の姿を探してしまう。
自分の犯した過ちを思い返せば当然の結果と言えるのだろう。
しかし、そんなことはお構いなしに、現実と言う名の悪夢は、私の減退した精神を徐々に蝕んでいった。
自分を責め、過去を悔やむ日々が続いた。
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