Kiss

6/7
前へ
/800ページ
次へ
「泣きたかったら泣け。受け止めてやるから。」 オレは教師、こいつは生徒。慰めるのは、オレの仕事。 そう心の中で何度も復唱し、高校生のくせに、物欲しげだった色気のある顔を払拭する。 ただ、慰めるつもりだった。 たとえ、一瞬だとしても、涙を止めてやりたかった。 オレに縋って泣く姿に、さっきまでのキスがこの山岡美佳だったとは思えないくらい、可愛いらしい。 少しの大人っぽい雰囲気と、まだ残るあどけなさ。 守ってやりたくなった。 それが、教師としてか、一人の男としてかは、まだ、わからない。
/800ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12662人が本棚に入れています
本棚に追加